|
はじめに |
|
|
|
|
|
|
|
大学生の学力に関する大学を取り巻く環境は急激に変化している。少子化による18歳人口の減少、推薦・AO入試など筆記試験を課さない入試の増加による入学者選抜競争の緩和、ゆとり教育世代の大学進学などが重なり、大学生の学力低下が進んでいる。その状況をもう少し詳しく分析すると、学力の高い学生が減ったのではなく、かつては同じ大学、同じ学部、同じ学科の学生の基礎学力はほぼ同質の団子状態であったが、近年、基礎学力が分散し、一斉授業が成り立ちにくくなっているのである。また、最近では中・高における英語教育の失敗のつけが大学・大学院まで及び、大学では英語リメディアル(補修)教育から授業を始める大学が大幅に増加している。大学院では自分の研究分野の論文を英語では読めない院生が急増しており、英語力の低下は特に深刻な状況にある。筆者等は日本語力の改善とともに、英語リメディル教育用教材や学習プログラムを開発し実践的啓蒙活動を行っている。 |
|
|
|
|
|
|
大学から小中高まで教育改善を |
|
|
|
|
|
|
|
大学では受け入れた学生への入学前・初年次・リメディアル教育を進めつつあり、その成果が出始めている。しかし、筆者は、本来、小・中・高校で身につけておくべき基礎教育をいつまでも大学でやり直し続けることに疑問に感じ始めている。すなわち、大学入学以前の小・中・高校はそれぞれの学校の役割として何をすべきかを考え、改善の努力をすることが必要である。
ここで、子どもの学習目標とその効果について考える。中・高・大学で受け入れる学生数が変わらないのに受験生が減少し、結果的に入試競争が緩和されている以上、「入試のために勉強しろ」は、困ったことに子ども自身だけではなく、両親にも子どもの学習目標にはならなくなってきた。受験に代わる勉強の目的や目標を早く確立すべきである |
|
|
|
|
|
|
学力向上のこつ |
|
|
|
|
|
|
|
小学生から大学生まで学習者が進んで受けたい授業のキーワードは、「面白い・分かりやすい・役に立つ授業」である。一方、教える側の教員が第一に重視するのは「役に立つ」である場合が多く、その結果、子どもたちにとって「面白い授業」ではなくなってしまう。子どもが学力の向上によって、「勉強はおもしろい」と実感するためには、「何をすれば、学習内容がよく分かり、成績が上がる」かを教員側がよく研究した上で学習内容を提示することが効果的である。
学習によって成果を出すためには最初は基礎・基本の学習を重要視すること、すなわち、その学年相当の日本語の語彙力・漢字能力、日本語運用能力や、これらの言語力を背景とする最低限のあらゆる基礎知識を持たせることである。小学校で昔から言われている「読み・書き・そろばん」にあたる国語や算数の基礎的内容の反復練習が不可欠であることがわかる。
例えば小学生が学習帳をつかって漢字を一時間繰り返し書き、20個の漢字の学習をしたとする。次の日のテストで「15個はできた」(前回は勉強しなかったので8個しかできなかった)、というような努力の成果が実感できると、勉強が面白くなってくるものである。
基礎学習はまさに、書いて覚える、書いて身につけることが重要であり「書育」こそが基礎教育の基本ではないだろうか。
また、最近の中・高における英語教育では語彙・文法学習を放棄した上に、筆記体を教えず、会話重視の英語教育を実施しても英語力ばかりか、コミュニケーション能力も全く身についていないことがわかってきた。ある私立中学が1年生に実施している良い学習例は、毎日20分ずつリスニングを続けると最初はほとんど耳に残らなかったが、2週間もすると何か聞き取れるような気になり始め、1ケ月もすると知っている単語だと聞き取れるようになったとの自覚が自然に持てるようになるという。「知っている単語は聞きとれる」が重要である。そのためには長期間かかる単語・語彙学習は昔のようにこつこつと続けることが重要である。漢字学習と同じように書きながら覚えること、すなわち英語学習でも「書育」が基本である。
小学校での読み書きソロバン、中学校での英語教育に、昔からの「書育」を取り入れ、両親が子どもの学習の進捗状況を客観的に観察できるようにして、基礎学力を取り戻す方法を確立してほしいと考えている。 |
|