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(序)脳を観る光トポグラフィとは |
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「書くこと」については、脳科学の分野でもこれまで多くの研究がなされてきました。そのようにして判明したことは、言語はブローカ領野(発話)で発話して、ウェルニッケ領野(意味理解)でその意味を理解することがわかっています。この領域が働くかどうかを計測して「書字」と「タイプ」における脳の活動を把握することができます。
キーボードの場合は、言語野で「文章を考える」、運動野で「打つ」、パソコンが「文字変換」をするのを視覚で確認するというシンプルな働きです。
一方、ペンで書字する場合は、言語野で「文章を考える」、脳のどこかで「文字変換」をする、視覚・運動で「ペンの位置を定める」、視覚・聴覚・運動で「ペン先を動かす」と、まさに全身で書いていることがわかります。 |
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| 筆ペン、ボールペン、キーボード、携帯電話の4種の情報機器を使って「書く・入力する」ことの脳機能への影響を光トポグラフィで調べると右図のような特長が現れました。キーボードの場合に後頭部の活動が見られないことです(青色に変化がみられない)。 |
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ペンで書くときは、 |
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音声を聞き理解する
書き取る・手を動かす
この動きと字をよく観る |
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ということを並列にやっているのです。 |
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一方、キーボードの場合は、 |
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声を聞き理解する
キーボードを打つ
(パソコンが変換した)文字を観る |
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をやっています。 |
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| ところが、この「観る」機能はペンに比べて相当いい加減な機能なのです。Eメールや携帯メールで誤字脱字が非常に多いのは画面を観ているよう観ていない結果なのです。 |
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つまり、ペンで書く方が脳への負荷が高いということで、「ペンで書くことは脳をはぐくむ」と結論づけることができます。先にお話した脳の進化の過程の中で考えると「知性の時代」に属する活動です。 |
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一方、キーボード入力は脳への負荷が低いということで、「キーボード入力は脳への負荷低減」と結論づけることができます。脳の進化の過程の中で考えると「利便性の時代」に属する前近代の脳機能であると言えるでしょう。 |
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ペンで字を書くことを推奨する「書育」は、脳への負荷が高い、つまり脳をはぐくむ活動であるという観点を重視していくべきではないかと思うのです。ただし、キーボードをなくせという意味ではありません。キーボードは利便性の高い有用な処理装置であることに変わりはありません。歴史的には、ワープロの発明が日本語を守ったという事実があり、実際の日常では大切な装置であると考えています。 |
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ところで、ペンで書字する方法の新しいアプローチとして「デジタルペン」が注目されています。国家プロジェクトでこれを教育現場に導入する研究がすすんでいます。デジタルペンで書字したものを全員が共有することで学習能力が高まるという成果も報告されています。 |
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●脳を鍛えることで得られる成果 |
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最後に、「脳をはぐくむ」とは一体どのようなことなのかを考えてみましょう。脳を働かせることで脳に変化が現れるのでしょうか。 |
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2004年に科学誌が紹介した研究(参考文献1)によると、「ジャグリング(お手玉、おじゃみ)を3ヶ月訓練して、1分間続けられると、脳が大きくなった。そこで、やめて3ヶ月経つと、少し小さくなった。」とあります。年齢に関わりなく、学習によって脳のサイズが変化したという報告です。 |
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もうひとつ、これも科学誌の報告で、「知的な人たちは、なぜ長生きなのか?」という特集がありました。IQの高い人ほど長生きしているという現象が起きているとすれば、私はひとつは遺伝、もうひとつは知の成長を指向するご本人の意欲だと思うのです。 |
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参考文献 |
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1. B. Draganski, C. Gaser, V. Busch1, G. Schuierer, U. Bogdahn and A. MayNeuroplasticity: Changes in grey matter induced by training, Nature 427, 311-312 (22 January 2004) |
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(了) |
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無断転載を禁じます。著作制作・牧敦 |
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