JAPAN WRITING INSTRUMENT MANUFACTURERS ASSOCIATION
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   ◆ 年末講演会・懇親会2022 ◆

日本筆記具工業会

2022 年末講演会・懇親会 3年ぶりに盛大に開催
講演テーマ“途上国から世界に通用するブランドをつくる~
途上国の可能性をモノづくりの力で証明する”
   
   日本筆記具工業会(JWIMA、数原英一郎会長)は、12月2日午後5時から、東京・上野公園の精養軒で「講演会・年末懇親会」を三年振りに開催した。  
講演会は、講師に株式会社マザーハウス・山口絵理子社長(写真)を迎え、“途上国から世界に通用するブランドをつくる~途上国の可能性をモノづくりの力で証明する”をテーマに開講。
講師:株式会社マザーハウス・山口絵理子社長
【講演録】
     山口講師は、慶応大学卒業後、ワシントンの国際機関でアルバイトを行い、貧困問題に出会う。いろいろな援助が行われているが、本当に貧困のみなさんに届いているのか疑問に思い、アジア最貧国のバングラデッシュの大学院に留学。
   バングラデシュの面積は北海道と同じで、そこに1億2000万人が住んでいるカオスみたいなところである。
   2年間、大学院生をやり、外でみているのと実際の現場は違うことがわかった。賄賂がナンバー1の国で、この国のいいところはなんだろうと考え、帰国しようと悩んでいた時に出会ったのが黄麻の“ジュード”であった。
   麻袋をつくっている工場をみたが、2万人も働いている劣悪な環境であった。給料は2、3カ月支払われないのは当たり前で、そこでストライキが起こる。ほとんどの工場が“ネクストチャイナ”を目指し、人件費が安いことをよしとしている。
   これではだめで、付加価値のあるものをつくることが大事で、いいと思ってもらえるものをつくりたいと、24歳の時に思った。
   そこで、帰国後、“途上国から世界に通用するブランドをつくる”をミッションにマザーハウスを設立した。まず、麻袋はチクチクするので、それをどうするのか、素材から検討することからはじめた。
   現地にジュードのバッグをつくる工場を探したものの、生産委託ではコントロールが効かないので、自社工場をつくろとしたが、社内で大反対にあった。しかし、原料を持ち込んでもいつ逃げられるかわからない工場よりも自社工場のほうがいいと決断した。
   しかし、朝9時に来ない、手は洗わない、まっすぐに縫えないと、赤字の垂れ流し状態であった。そこから、従業員の意識を変えようと、まっすぐに縫えるまでやらせ、何とか十六年間やってきた。
   いま、自社工場には300人が働き、1万2000個のバッグを毎月出荷している。何とか家族のような工場をつくりたいと思い、がんばった結果、5時過ぎても家に帰らずにうまく縫えるように練習している従業員の姿もみられるようになってきた。
   また、現場でデザインしたほうが良いと考え、自らデザイナーになり、型紙を起こした。
   いま、直営店46店舗あるが、当初はセレクトショップなどに販売していたものの、バッグが泣いている状態で、直営店でやろうと決意したものの、手元には250万円しかなかった。そこで、ビジネスプランコンテストに応募して、300万円の賞金をゲットし、入谷に1号店をつくった。また、陳列棚などもすべて自分たちでつくった。
   アジアでも展開しているが、欧米に店舗を持つことが夢である。
   また、2010年にはバングラデッシュの職人を日本に呼んで、日本で感じたことをスタッフに広めてくれ、これがロールモデルとなった。
   その後、銀座店でトートバッグを縫う実演販売をして大好評を博した。途上国でつくったものというマイナスのイメージを覆すことができた。また、日本の顧客をバングラデッシュに呼ぶツアーを企画し、日本人観光客が自分たちがつくったバッグを持ってきており、それをみた従業員たちは大変に喜んだ。
   このころから従業員たちから“お客のために”という言葉が自然に出てくるようになった。2025年には、バングラデッシュに新工場を立ち上げ、夢の実現に一歩前進する。
 
     少憩後、年末懇親会に入り、西村筆頭副会長が「きょうは、朝からワールドカップをみて元気をもらい、また、講演会でも山口さんのバイタリティや大きな夢の実現に元気をもらった。
   バングラデッシュで付加価値のあるバッグをつくり、世界で成功を収めている。筆記具も同じで、原価高、円安という苦しい1年であったが、それを乗り越えるには価値を高め、価格も高くしていくことが大きな力になる。
   筆記具は誰でも持っているが、必要だから持っているのではなく、欲しいから買っていただいている。みなさんが欲しいものをつくれば需要は無限に大きくなっていく。
   日本の技術力は世界一であり、みなさんと一緒に魅力ある筆記具をつくれば、まだまだ伸びていく」と、あいさつした。北條副会長の首唱 で乾杯し開宴、なごやかに歓談した
 
           
数原会長   西村筆頭副会長   北條副会長   小野副会長
 
     最後に、数原会長が「3年振りにリアルで開催でき、大変にうれしい。
   日本の筆記具業界は、メーカーと部材メーカーが力を合わせているから強い。これからも競争もするが協調しながら、世界をリードしていきたい。また、リスクをとりながらチャレンジすることが大切で、勇気と決断力と行動力をもって来年もチャレンジしていきたい」と、閉宴のあいさつを述べ、小野副会長の音頭で手締めを行い散会した
   (文:週刊ビューロウより)。  
 
   (文具セット写真は講師へのお土産で大変喜ぶ) 
 

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